TAVIがすべての症候性重症⼤動脈弁狭窄症の
患者さんの治療選択肢へ
TAVIの適応拡大についてのご案内
TAVIがすべての症候性重症⼤動脈弁狭窄症の
患者さんの治療選択肢へ
TAVIの適応拡大についてのご案内
プレスリリース
2021年4月8日
エドワーズライフサイエンス株式会社
経カテーテル⼤動脈弁治療⽤(TAVI)⽣体弁「エドワーズサピエン3」
すべての症候性重症⼤動脈弁狭窄症の患者さんの治療選択肢としての承認を取得
開胸⼿術が可能な患者さんもTAVIが選択可能へと適応が拡⼤
エドワーズライフサイエンス株式会社(東京都新宿区、代表取締役社⻑:ケイミン・ワング、以下エドワーズ)はこのほど、経カテーテル⼤動脈弁留置術(以下TAVI=タビ*1)に使⽤する⽣体弁「エドワーズサピエン3」(承認番号:22800BZX00094000、以下サピエン3)について、開胸⼿術が可能な症候性重症⼤動脈弁狭窄症*2への追加の承認を取得しました。今後は保険収載を経て、全国のTAVI実施医療機関*3にて治療可能となる⾒込みです。
TAVIは開胸することなく、患者さんの⾎管からカテーテルで⽣体弁を⼼臓の中まで運び留置する⾰新的な治療法として、2013年にエドワーズが初めて⽇本に導⼊しました。それ以来、⼤動脈弁狭窄症の治療を必要とする患者さんにとって、新たな治療の選択肢として役⽴てられてきました。ただし導⼊当時、TAVIは新規性の⾼い治療法で、世界的なエビデンスも限られていたことから慎重な導⼊が図られ、これまで開胸⼿術が可能な患者さんは適応対象外とされてきました。
2019年に多施設国際共同試験であるPARTNER3試験(外科⼿術低リスク患者さんにおけるTAVIと開胸⼿術の無作為化⽐較試験*4の結果が報告され、主要評価項⽬においてサピエン3によるTAVIの開胸⼿術に対する優越性が⽰されたことから、すべての症候性重症⼤動脈弁狭窄症と診断された患者さんの治療選択肢として、同年に欧⽶諸国にて承認され、この度⽇本においても承認取得に⾄りました。TAVI⽤⽣体弁の中でもエドワーズの製品は最も広く研究されており、その対象患者数は世界65カ国以上の臨床試験やレジストリにおいて3万⼈以上に上ります。現在までに、TAVIは世界中で65万⼈以上の患者さんの治療に役⽴てられています。
⽇本から多施設国際共同試験に参加した施設のひとつである帝京⼤学医学部附属病院の循環器内科教授、上妻謙先⽣は、次のように述べています。「TAVIの臨床試験であるPARTNER3試験では、サピエン3を⽤いて治療を受けた外科⼿術低リスク症例について、優れた結果が⽰されました。1年死亡率もしくは後遺症の残る脳卒中の発症率は開胸⼿術群の2.9%に対し、TAVI群では1.0%と良好な成績が報告されています。術後のQOL(⽣活の質)を⽰す評価項⽬である6分間歩⾏距離およびKCCQスコア*5において、TAVI群は30⽇後に開胸⼿術群に⽐べて有意な改善を⽰し、1年後も同程度の改善を維持していました。TAVIは術後翌⽇からほとんどの患者さんが⾷事や歩⾏を開始することが出来ます。⼿術患者さんは⼊院期間が⻑くなると筋⼒が低下していくことから、治療を受けて短期間で⾃⽴した⽇常⽣活に戻ることができることは低侵襲治療の⼤きなメリットです。この観点からも、すべての重症⼤動脈弁狭窄症の患者さんがサピエン3を⽤いたTAVIを治療選択肢として検討できることは、患者さんにとって意義のあることだと考えます。」
⼤動脈弁狭窄症は⼼臓弁膜症のひとつです。放置すると病状が進⾏し、⼼不全などへと発展して⼊退院を繰り返したり、あるいは動悸や息切れといった⾃覚症状がある患者さんにおいては5年間で10⼈に1⼈の確率で突然死が起こる*6など、患者さんの⽣活の質を著しく悪化させる疾患です。しかし病状が進みすぎる前に適切なタイミングで治療することで、再びすこやかな⽇常⽣活を取り戻すことが⽬指せる疾患です*7。
⼤動脈弁狭窄症は症状が加齢に伴うものと似ていることから、⽼化と混同され気づかれぬまま悪化することが多く、未治療の患者さんが多数存在すると考えられています。⽇本においては、60歳以上の⼤動脈弁狭窄症の患者数は約284万⼈で、そのうち治療が必要な重症⼤動脈弁狭窄症の⽅は5⼈に1⼈(約56万⼈)と推定されています*8。⼀⽅、⽇本における年間の治療件数は約2万件程度*9にとどまっていることから、⼤多数の患者さんが治療の機会を逃した状態であることが想定されます。
エドワーズ代表取締役社⻑で、⽶国本社コーポレートバイスプレジデント⽇本・アジアパシフィック担当のケイミン・ワングは次のように話しています。「エドワーズは⼼臓弁膜症が世界にもたらす負担を低減することを⽬指しています。サピエン3は、⽣体弁のパイオニアであるエドワーズの数⼗年に及ぶ経験と実績を基盤とし、⽇本では2013年に初めて導⼊したTAVI⽤⽣体弁をさらに改良した製品として、2016年から治療に使⽤されています。⾼齢化が進む⽇本において健康寿命の延伸は喫緊の課題であり、この度、より多くの⽅にとってTAVIが治療の選択肢として加わることで、加齢に伴って誰もが罹り得る⼤動脈弁狭窄症への対策が進み、⼈々がすこやかに年齢を重ねる⼀助となると確信しています。また、2020年3⽉に⽇本循環器学会の「弁膜症治療のガイドライン*10」が8年ぶりに改訂され、開胸⼿術とTAVIは同等に扱われるようになりました。治療法の選択においては、弁膜症チーム*11が患者さんの年齢や解剖学的因⼦に加え、患者さんおよびご家族の希望などを踏まえて、個々の患者さんに最も適している治療⽅法を判断するよう提唱されています。エドワーズは循環器疾患と戦う⼈々へ、⾰新的な治療⼿段を提供することに全⼒を尽くすことをクレド(信条)とし、これからも開胸⼿術、TAVIを始めとした弁膜症治療をより良くする技術を⽣み出し、医療従事者とともに患者さんが治療を経てすこやかな⽇常⽣活を取り戻す助けとなるために、尽⼒してまいります。」
【参考】
1. TAVI(タビ)とは:Transcatheter Aortic Valve Implantationの略称。開胸手術をすることなく、カテーテルで患者さんの血管を通じて生体弁を心臓の中まで運び、留置する治療法。

折りたたんだ生体弁を、カテーテルで心臓の中に運ぶ様子(左)とバルーンで膨らませた様子(右)
2. 大動脈弁狭窄症とは:心臓弁膜症のひとつで、心臓の大動脈弁に障害が起き、本来の機能を果たせなくなる病気。治療せずに放置すると心不全へと繋がる恐れがあり、患者さんの生活の質に著しい影響を与える。薬では根治できないため、人工弁置換術(開胸して心臓を止め、悪くなった弁を人工弁に取り換える治療)やTAVIなど介入治療が必要になる。参考:心臓弁膜症サイト https://www.benmakusho.jp/

正常な大動脈弁(左)と、狭窄した大動脈弁(右)
3. 参考:経カテーテル的心臓弁治療関連学会協議会ウェブサイト http://j-tavr.com/facility.html
4. Michael J. Mack, M.D et al. Transcatheter Aortic-Valve Replacement with a Balloon-Expandable Valve in Low-Risk Patients N Engl J Med 2019; 380:1695-1705
5. KCCQスコアとは:Kansas City Cardiomyopathy Questionnaireの略称。カンザス市心筋症についての質問表。心不全の特異的なQOLを100点満点で評価する指標で、点数が高いほど症状による負担が少なくQOLが良好であることを示す。
6. Taniguchi T et al. Sudden Death in Patients With Severe Aortic Stenosis: Observations From the CURRENT AS Registry
7. Phllipe G et al. Staging classification of aortic stenosis based on the extent of cardiac damage
8. De Sciscio P, et al. Quantifying the shift toward transcatheter aortic valve replacement in low-risk patients: A meta-analysis. Circ Cardiovasc Qual Outcomes. 2017;10:e003287.
9. Committee for Scientific Aairs, The Japanese Association for Thoracic Surgery, Shimizu H, et al. Thoracic and cardiovascular surgery in Japan during 2017: Annual report by The Japanese Association for Thoracic Surgery. Gen Thorac Cardiovasc Surg. 2020;68:414-49.
10. 弁膜症治療のガイドライン https://j-circ.or.jp/old/guideline/pdf/JCS2020_Izumi_Eishi.pdf
11. 弁膜症チームとは:心臓血管外科医、循環器内科医、エコー医、麻酔科医、放射線科技師、臨床検査技師、臨床工学士、看護師等からなる専門家チーム。
エドワーズライフサイエンスについて(https://www.edwards.com/jp/)
エドワーズライフサイエンスは、構造的心臓病とクリティカルケアモニタリングに関する患者さん中心の医療イノベーションの世界的リーダーです。患者さんを助けたいという情熱を原動力に、世界のヘルスケアの現場で医療従事者や関係者とのパートナーシップを通じて、生活の改善と向上に取り組んでいます。
【報道関係者からのお問い合わせ先】
エドワーズライフサイエンス株式会社 広報室 緒方 令奈
電話:03-6894-0640 e-mail:pr_jp@edwards.com
【医療関係者からのお問い合わせ先】
エドワーズライフサイエンス株式会社THV事業部
電話:03-6894-0680
※患者さんに対して弊社より直接、治療に関する情報のご提供は出来かねます。必ずご自身の主治医にご相談下さいますよう、お願い申し上げます。