大動脈弁狭窄症(AS)の
治療タイミング

大動脈弁狭窄症(AS)は早期に発見し、適切なタイミングで治療することが大切です

早期介入治療の有用性1

重症AS患者さんに対する早期介入治療は、保存的治療に比べて全死亡リスク、心不全による入院リスクを低減させることが報告されています1。そのため、心不全において、併存疾患としてのASへ介入治療を行うことは重要といえます。

全死亡・心不全による入院
全死亡・心不全による入院
全死亡・心不全による入院
Taniguchi T, et al. J Am Coll Cardiol. 2015;66:2827-38.

TAVI治療の施行を拒否した患者の予後2

試験概要

TAVI治療の施行を1回以上拒否した患者の予後の検討した試験です。

2013年10月から2016年7月までにTAVIを施行され本邦におけるOCEAN-TAVI registryに登録された重症AS患者1,542例を、TAVI拒否群28例、TAVI非拒否群1,514例に分け、患者背景、周術期の患者転帰、死亡率について比較検討した臨床成績です。

結果

TAVIによる治療を1度でも拒否したことのある患者(拒否群)では、非拒否群に比べて30日死亡率および1年死亡率が有意に高い結果でした。
治療適応があるにも関わらずTAVI治療の施行を少なくとも1回以上拒否した患者では、中期的な予後が悪化する可能性が示唆され、適切なタイミングで治療を開始する必要があります。

全死亡率
全死亡率

拒否群:インフォームドコンセント時に一度でもTAVI治療を拒否したことがある患者群
非拒否群:TAVI治療を拒否しなかった患者群

ベースラインの年齢平均値は、拒否群87.3歳、非拒否群84.3歳、Logistic EuroSCORE 平均値は各18.9%、12.3%、STS score平均値は、各8.8%、6.3%であった。

Shimura T, et al. J Am Heart Assoc.2018;7:e009195.
OCEAN-TAVI registryはエドワーズライフサイエンス株式会社から資金提供を受けている

Clinical Frailty ScaleがTAVI後のアウトカムに与える影響3

目的

経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)を実施した大動脈弁狭窄症(AS)患者におけるClinical Frailty Scale(CFS)の予後予測能を確認すること。

対象

前向き多施設共同レジストリであるOCEAN(Optimized Catheter Valvular Intervention)-TAVI registryに登録されている患者のうち、TAVIを実施した症候性の重症AS患者1,215例(2013年10月から2016年4月に日本の医療機関9ヶ所から報告)。

方法

患者をClinical Frailty Scale(CFS)の段階に基づき、5群(CFS 1~3群、CFS 4群、CFS 5群、CFS 6群およびCFS≧7群)に分けて、フレイルの程度と予後との関連性を評価した。
評価項目:CFSの予後予測能、CFSと他のフレイル指標(BMI、血清アルブミン値、歩行速度、平均握力)との関連性など

2013年10月から2016年4月に、前向き多施設共同レジストリであるOCEAN(Optimized Catheter Valvular Intervention)-TAVI registryに、日本の医療機関9ヶ所から報告されたデータを用いて、TAVIを実施した症候性の重症AS患者1,215例のフレイルの程度と予後との関連性を検討した。

結果

患者の内訳は、CFS 1~3群462例(38.0%)、CFS 4群400例(32.9%)、CFS 5群183例(15.1%)、CFS 6群122例(10.0%)およびCFS≧7群48例(4.0%)であった。各群の平均年齢はCFS 1~3群83.8歳、CFS 4群84.5歳、CFS 5群85.1歳、CFS 6群85.4歳およびCFS≧7群85.1歳であった。
1年間の累積死亡率はCFSの上昇とともに上昇した(7.2%、8.6%、15.7%、16.9%、44.1%、p<0.001)(図)。

1年間の累積死亡率
CFSごとの1年間の累積死亡率
Shimura T, et al. Circulation. 2017; 135: 2013–2024.

結論

CFSはTAVI患者において短期および中期死亡を予測するための有用なマーカーであるとともに、フレイルを評価するための簡便なツールであり、老年病専門医でなくても使用可能である。

参考文献

1. Taniguchi T, et al. J Am Coll Cardiol. 2015;66:2827-38.

2. Shimura T, et al. J Am Heart Assoc. 2018;7:e009195.

3. Shimura T, et al. Circulation. 2017; 135: 2013–2024.